ひと味違う表現重要
審査委員長 田沼 武能氏
(全日本写真連盟会長 日本写真家協会[JPS]会長)
(全日本写真連盟会長 日本写真家協会[JPS]会長)
東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。前回は東北地方からも応募があり、各種テーマ部門で入賞者がいただけにとても残念です。
応募作品には、前回の上位の写真と似た作品が見られた。類似作は上位には行かない。観光写真ではない、教会と人間とのつながりに力を入れて選択させてもらった。教会堂は絵になりやすい。十字架の夕景も多かった。皆思うことは一緒なので、他人とひと味違う感性で表現してもらうと素晴らしい作品になるだろう。
最優秀賞「ミサを終えて」は、新上五島町の頭ヶ島教会で2人の女性がミサを終えて帰って行く場面を捉えたものだ。2人がいることで教会は地元とともにあることがわかる。過疎、高齢化といった島の環境も写し込んだ優れた写真だ。
優秀賞「平和祈願祭」は、カトリック教会で司教がかぶるミトラという冠に焦点を合わせ、ミサの光景を的確に捉えている。雰囲気も良く、なかなか撮れない写真だ。「対話」は、キリスト教の伝統が長崎の街の日常に溶け込んでいることを表現している。渋みがあって、街の歴史を感じさせる作品だ。「キリシタン洞窟ミサ。岩場の草」は、隠れキリシタンが潜伏した洞窟の前で年に一回行われるミサの様子を遠い場所から狙い、行事の内容を正確に写している。海の光の描写が洞窟のミサを印象深く表現している。もう少し雰囲気を感じさせるタイトルが欲しかった。
(2011.4.12 朝日新聞)
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主催/長崎写真コンクール実行委員会